月夜に
ふと 窓の外が明るいことに気がついて 真夜中に写真を撮る
こんな月を見ると、思い出す 中原中也の 「詩」 がある
月夜の浜辺
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。
それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂(たもと)に入れた。
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。
それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
月に向つてそれは抛(はふ)れず
浪に向つてそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。
月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁(し)み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?
子どものころ入っていた合唱団で、中原中也の月にちなんだ3つの詩
(月の光 その一、月夜の浜辺、月の光 その二)に
三善 晃氏が曲を書いた「月夜三唱」を歌いました。
三善 晃氏の曲はどの曲もとても美しく切なくて、強いメッセージがあり、好きでした。
たくさん歌いましたが、中でもこの曲(月夜の浜辺)は印象に残っていて、
月を見ると思い出します。
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